2009年8月9日日曜日

He was pardoned

「彼は、特別に許された」

 昨日の夜、夫と一緒に"Nixon and Frost"という映画を、家で見ました。見たと言っても私はいつも通り、途中で寝てしまったのですが、この映画は、アメリカで唯一辞任した大統領ニクソンと、彼をインタビューしたイギリスのジャーナリストの実話に基づくお話しです。ニクソンは、「ウォーターゲート事件」で、その当時の野党本部「ウォーターゲート」に盗聴機を設置し、盗聴していたと言うのです。この事件が明るみになり、ニクソンは大統領の地位を辞任しなければならなかったのですが、裁判にはかけられなかったらしいのです。映画の中で誰かが、「裏庭からこっそりと逃げ出したようなもの」と言っていました。そのことを夫が説明していたのが、今日の一言です。トム・ハンクス主演の映画「フォーレスト・ガンプ」にも、「ウォーターゲート事件」は出てきます。でもこの映画の中では、フォーレストがホテルに居る時、「誰かが、懐中電灯をちらちらさせていて良く眠れないから見回りに行って欲しい」とセキュリティーに電話すると、そこでウォーターゲートに盗聴機を仕掛けようとしていた犯人達が捕まるという設定で、フォーレスト・ガンプが事件を解決したように描かれています。

 さてさて皆さん、今日の表現の"pardon"という言葉、「許す」とか「恩赦」などと英和辞典には出ていますが、たぶん、元々はフランス語だったと思います。英語の単語の中にはフランス語が語源の物が、大変多いのです。私は、フランス語をアメリカの大学の授業で取り始めた時、すぐにこのことに気付きました。英語と同じような綴りで同じような意味の言葉が、教科書にいっぱい載っていたのです。それにしても、なぜだと思いますか?実は、中世のイギリスは、フランス王によって支配されていた時期があったのです。そのため、フランス語とフランス文化がどっとイギリスに押し寄せ、その時、英語は大きく変り、「古代英語」から「中世英語」に移りました。その変貌振り、そんじゃそこらの変化ではなく、全く違う外国語になったと言っても過言ではありません。英語は元々、「ドイツ語」だったのです。私は、アメリカの大学で言語学を専攻し、「英語史」は必修科目でした。そこで、この授業を教えていた教授(この教授は私の言語学人生の中で大変重要な方で、「師匠」とでもお呼びしたいくらいです)に、このことを説明してもらうために、彼の事務所に行ったことがあります。
「古代英語ってのは、元々、ドイツの一地方の方言だったんだよ。ドイツからイギリスを征服した人たちが話していた言葉が、古代英語なのさ。だから、例えば、ネブラスカ州の方言が(その当時私がネブラスカ州に住んでいたために彼が引き出した例です)アイオワ州(ネブラスカ州のすぐ隣の州です)に伝わって、その方言を「古代英語」と読んでいたようなものなのさ」
と説明してくれました。なので、古代英語と、むっかーしのドイツ語というのは、同じなのです。道理で、今でも、ドイツ語をボーっと聞いていると、英語と区別ができないわけです。確かにすんごく似ています。文章見ても、半分くらいは分かる気がします。でもですね、1066年にフランス王がイギリスを征服すると、イギリスでは、フランス語が公用語になり、英語は身分の低い者の言葉になります。その間に単語だけでなく、ずいぶんと核となる文法も大きく変化するんですね~。冠詞とか、動詞の変格とかが、ず~~~い分簡略化されます。現在の英語、動詞の変格は3種類しかありません。でも、古代英語ではドイツ語並に、もっといっぱいあったんですよ。こうして考えると、日本人のように、全く違う言語圏の人にとっては、ありがたい変化だったのではないかと、個人的には思います。8つとか動詞の変格覚えるより、3種類の方がよっぽど楽チンというもの。英語が世界中に広まったのも、こういった面が役に立っているのではないかと、これも私個人の意見ですが、思います。

 と、話しはかなり飛んでしまいましたが、今日のタイトルをクリックすると、ニクソンとフロストの映画のコマーシャルが出てきます。

人気ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村