2008年6月12日木曜日

You can close that door, too

「あっちのドアも閉めていいよ」

 なんでこんな簡単な表現を出すんだ、と思う人もいるかもしれませんね。そうです。確かにこれは、大変簡単な表現です。でも、これにはもっと奥の深い、英語と日本語の違いが隠されているのです。私が朝、出かける準備をしていた時、夫はまだベッドの中で寝ていました。音や光で目を覚まさないようにと思って、私がベッドルームの隣のバスルーム(アメリカの家では、バスルームがベッドルームに続いているんですね)のドアを閉めると、もう一つのドアを指差して夫が言ったのが上の言葉です。

 さてさてここで、日本人のあなたは「あのドアも閉めてください」と言いたい時に、「あのドアも閉めていいよ」と言いますか?決して言わないはずです。なぜなら、日本語では相手に何かをしてもらいたいと「お願い」する時に、その行動を「許可」するような表現は使わないからです。「お願いしているのに、してもいいよ、なんてえらそうだわ」と考えられてしまうからです。こういう表現は謙譲語が高度に発達している日本語では、考えられません!と思った朝の夫の一言でした。たまに、こういったポロッとした一言で、英語と日本語の違いを見ることがあります。言語学専攻の私にとって、頭の上に石でも落とされたような衝撃です。